医師のアルバイト情報サイト「Dr.アルなび」では、2023年7月下旬から8月上旬にかけて 全国の医療機関を対象に「医師の働き方改革」に向けた取り組み状況に関するアンケートを実施しました。
本記事ではその調査結果をご紹介しながら、「医師の働き方改革」以降もアルバイトを希望する医師が今確認しておきたいポイントや、2023年8月時点の「宿日直許可」の取得状況などをお伝えします。
医師の働き方改革で、「アルバイト医師の採用」が大変になる?
約9割の医療機関は、外部からの派遣や紹介でアルバイト医師を採用
まず、今回調査対象となった医療機関における「アルバイト医師の採用方法」を尋ねました。
Q:現在、大学病院などからの医師派遣や、医師紹介会社からアルバイト医師の紹介を受けていますか?
最も多かったのは「大学病院などから、医師派遣を受けている」(37.8%)であり、次いで「大学病院などからの医師派遣・医師紹介会社からのアルバイト医師紹介の両方を受けている」(28.5%)、「医師紹介会社からのアルバイト医師紹介を受けている」(21.5%)が続きます。
全体的に見てみると、「医師派遣・医師紹介は受けていない」(12.2%)を除く 87.8%の医療機関では外部からの派遣や紹介によってアルバイト医師を採用しているようです。
なかでも 大学病院からの医師派遣でアルバイト医師を採用している医療機関は全体の7割に迫る勢いで、大学の人事が関連病院の医師体制に大きな影響力を持っていることが推測されます。
46.5%の医療機関が「今後アルバイト医師の採用は大変になる」と回答
続いて 2024年4月「医師の働き方改革」以降のアルバイト医師採用における変化について尋ねたところ、「今と変わらない」(52.9%)が最多となり、全体のおよそ半数を占めました。
Q:2024年4月以降、アルバイト医師の採用はどのように変化すると思いますか?
次いで多くなったのは「大変になる」(34.3%)、「かなり大変になる」(12.2%)であり、4割を超える医療機関では「2024年4月以降のアルバイト医師採用は、大変になる」と予測していることが分かります。
◆常勤医のアルバイトを禁止・制限する医療機関が増える
・医師の外勤を認めない病院も出てくると考える為。(大変になる/400床以上/ケアミックス病院)
・所属医局からの制限などで、募集にエントリーする医師が減少する可能性がある。(大変になる/100床未満/ケアミックス病院)
・現時点でも、すでに大学病院の規制が厳しくなったように感じる。
その結果、以前よりも日当直のアルバイト医師の採用が厳しくなっている。(大変になる/100床未満/慢性期病院)
◆当直アルバイト医師の争奪戦が起きる
・アルバイト医師を採用する病院が増えることに伴い、より一層 医師を採用することが困難になる。(大変になる/300床~399床/ケアミックス病院)
・医療機関同士で、当直医の取り合いになることも推測される。(かなり大変になる/300床~399床/ケアミックス病院)
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バイト希望の医師は、「医師の働き方改革」前にチェック!3つの確認事項
続いて、2024年4月に適用開始となる「医師の働き方改革」以降もアルバイトを希望する医師が、今のうちに確認しておきたいポイントを3つご紹介します。
アルバイト希望の医師が今から確認しておきたいこと①「アルバイト可能な時間」
まず確認しておきたいのは、2024年4月以降に自分がアルバイトすることができる時間です。
「医師の働き方改革」では、各医療機関が担う機能や働く医師の特性などの条件に応じて、A水準・B水準・連携B水準・C-1水準・C-2水準という水準が指定されます。
常勤先がどの水準指定を受けるかによって、そこで働く勤務医の労働時間の上限値が決められているのです。
なおこの規制で定められる医師の労働時間とは、アルバイト先における労働時間も含む 医師の総労働時間のことを指します。
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よって、2024年4月以降に医師がアルバイトをする場合には、
・常勤先で適用されている水準(勤務医の労働時間の上限)
・常勤先における労働時間
・常勤先における宿日直勤務の状況
の3点を確認したうえでアルバイト可能な時間を算出し、上限時間を超えないアルバイト案件を探す必要があるのです。
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今後は、応募医師の「アルバイト可能な時間」を確認する医療機関が多くなる
また同時に、医療機関側でも応募医師一人ひとりのアルバイト可能な時間を確認したうえで選考・採用活動を進めることが求められるようになります。
今回の調査でも、2024年4月以降のアルバイト医師採用では 医師への確認事項が「増える」と回答した医療機関が過半数となっています。
Q:アルバイト医師の採用にあたって、医師への確認事項は増えると思いますか?
・今後は、医師の(アルバイト)勤務可能な時間等の把握で負担が増えるだろう。
しかし医師自身も、正確な時間を把握していないケースは結構あるのではと思う。(大変になる/100床未満/無床診療所)
上記のコメントにもあるように、応募医師への確認事項が増えることに対して負担を感じる医療機関は少なくないようです。
「よくある問い合わせ事項」の先回り確認で、バイト探しがスムーズに
そこでアルバイト応募時にお勧めしたいのが、医療機関からの確認事項をあらかじめ予測し、事前に回答を用意しておくことです。
あらかじめ「医療機関から聞かれるであろう質問」に対する回答を準備しておくことで、多忙な勤務の合間に何度も医療機関とやり取りをする手間や時間を大幅に削減できます。
今回の調査では、医師の基本情報以外に「常勤先の有無」(回答数:103)を確認すると回答した医療機関が最も多く、僅差で「常勤先がある場合、外勤可能な時間」(回答数:102)が続いています。
Q:医師の基本情報(学歴・経歴など)のほかに、どのような内容を確認する必要があると思いますか?(複数回答可)
同時に、迅速でスムーズなコミュニケーションが可能な医師として採用担当者の心証が良くなり、ライバルとなる他の応募医師に差を付けられるといった嬉しい効果も期待できるかもしれません。
アルバイト希望の医師が今から確認しておきたいこと②「宿日直許可の取得状況」
次に確認しておきたいポイントは、自分が勤務するアルバイト案件が労働基準監督署からの「宿日直許可」が得られたものであるかです。
いまアルバイトをしている場合は、勤務先が「宿日直許可」を得ているか確認を
一般的に医療機関における「宿日直許可」の取得状況は、広く公開されている情報ではありません。
また「宿日直許可」は、医療機関全体のみならず、診療科や時間帯、勤務内容など限定的な条件で申請・取得することも可能となっています。
よって 現在アルバイト先があり、その勤務が「宿日直許可」が得られた案件であるか確認したい場合は、医療機関の採用担当者に尋ねることが最も確実な方法といえるでしょう。
【2023年8月】医療機関における「宿日直許可」の取得状況は?
これからアルバイト先を探したい場合には、その案件が「宿日直許可」を得ているか事前に確認したうえで、具体的な検討を進めると良いでしょう。
なお、2023年8月時点の各医療機関における「宿日直許可」への対応状況は以下の通りです。
Q:労働基準監督署への宿日直の許可の申請・取得状況を教えてください。
上記のように、約半数を占める医療機関は宿日直許可を「既に取得した」(49.4%)と回答しています。
また「申請し、結果を待っている」「まだ申請していないが、準備を進めている」と合わせると、77.3%の医療機関は宿日直許可の取得を希望し、具体的な手続きや検討を進めているということになります。
「宿日直許可」の有無は、2024年4月以降のアルバイト医師採用に大きな影響を及ぼす
このように医療機関の大半が宿日直許可取得に積極的である理由は、以下のコメントにもあるように<今後 アルバイト医師の採用では、「宿日直許可」の有無が大きなポイントとなる>と考えているためと推察されます。
・自院はまだ宿日直許可の申請を出せていないため、アルバイト医師の採用に不安がある。(大変になる/300床~399床/ケアミックス病院)
・宿日直許可が取得できたので、(アルバイト医師の採用に)大きな支障はないと考える。(今と変わらない/100床未満/その他)
・これから医師は「宿日直許可を取得しているか否か」によって、外勤先を絞るだろう。(大変になる/100床未満/ケアミックス病院)
積極的に「宿日直許可の取得状況」を確認・更新中!
アルバイト希望の医師が今から確認しておきたいこと③「常勤先に対する外勤状況の申告方法」
最後に確認しておきたいことは、常勤先の医療機関にアルバイトの状況をどのように申告すれば良いかです。
今後「勤務医の労働時間管理」は、より厳格になっていく
2024年4月から始まる「医師の働き方改革」に向けて、医療機関では勤務医の総労働時間(常勤先における労働時間 および外勤先における労働時間)を正確に把握することが求められます。
しかし医師の労働時間を管理するうえで「外勤先における労働時間」を把握することを苦慮している医療機関は特に多く、今回の調査でも「全医師の外勤先における労働時間を把握している」と回答した医療機関は全体の3分の1以下にとどまっています。
Q:「外勤先」における労働時間について、どのくらい正確に把握していますか?
・医師の総労働時間を正確に把握することは、非常に難しいと感じている。(200床~299床/精神病院)
常勤先との不要なトラブルを回避するためにも、必要な手続きを確認しておこう
2024年4月から適用開始となる医師の時間外労働規制に向けて、今後は外勤先における労働時間について厳格に申告・申請を求める医療機関も増えてくるでしょう。
現状では、勤務医の外勤状況を「口頭で確認している」(70.4%)医療機関が多いようです。
Q:「外勤先」における労働時間管理は、どのような方法で確認していますか?
医師が自身の外勤状況を常勤先に申告することは義務ではありませんが、常勤先の医療機関との円滑な関係を継続することは働くうえで大切なことです。
不要なトラブルを避けるためにも、常勤先の医療機関が求める外勤状況の申告・申請方法は早いうちに確認・対応しておくと安心でしょう。
以上、アルバイト医師の採用が今後どう変わるのか、そして2024年4月以降もアルバイトを希望する医師が確認しておきたい3つのポイントをご紹介しました。
「医師の働き方改革」に向けたアルバイト探しについて、不安や疑問点はありませんか?
そんなときには、私たちDr.アルなびのコンサルタントまでご相談ください。
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◆調査概要
「医師の働き方改革」に向けた取り組み状況 に関するアンケート
調査日:2023年7月28日~8月4日
対象:全国の病院・診療所・老健など
調査方法:webアンケート
有効回答数:182
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