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17.3%の大学が「宿日直許可がある病院で派遣先検討」文科省調査にみる大学勤務医の外勤事情

17.3%の大学が「宿日直許可がある病院で派遣先検討」文科省調査にみる大学勤務医の外勤事情

2024年4月から適用となる「医師の働き方改革」に向けた対応が各医療機関で進められるなか、全国医学部長病院長会議は「大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」を公表しました。文部科学省の委託を受け 全国81の大学病院および981名の医師に行ったこの調査では、普段知る機会が少ない大学病院で働く医師の勤務実態が明らかになっています。

大学病院に勤務する医師の80.7%が外勤をしており、週5~10時間の外勤が多いです。大学病院の給与は一般医療機関と比べて500万~700万円ほど低く、外勤で差額を補っています。2024年からは医師の時間外労働上限が適用され、外勤にも制限がかかるため、宿日直許可を得た勤務が重要視されています。

本記事では特に兼業・副業先(以下 外勤先)に関する項目に注目して、調査結果のダイジェストをお伝えします。

大学病院で働く医師は、どのくらい外勤している?

大学病院に勤務する医師の80.7%は外勤をしている

大学病院で働く医師の給与は、民間の病院などと比較すると低い水準といわれます。

本調査報告書においても、以下のような記述があります。

現在 大学病院の医師の給与は、一般医療機関や国立病院機構と比べて、年収で500万円から700万円ほどの差が生じているため、大学病院の医師のほとんどは兼業や副業により給与差額分を補っているのが現状である。

出典:「大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)

このような事情を裏付けるように、今回の調査においても外勤をしていると回答した医師は全体の80.7%を占めています。

外勤をしていると回答した医師は全体の80.7%

大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)をもとに編集部作成

若手医師を中心に、週5~10時間の外勤をしている医師が多い

なお「外勤をしている」と回答した医師の外勤先での労働時間で最も多いのは「週5時間~10時間未満」(56.3%)、次いで「週10時間~15時間未満」(17.2%)となっています(宿日直許可を得ている医療機関での宿日直時間を除く)。

外勤先での労働時間で最も多いのは「週5時間~10時間未満」

大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)をもとに編集部作成

なお職位別では職位が上がるにつれて労働時間が短くなる傾向がみられ、若手医師を中心に外勤を行っている状況が伺われます。

職位が上がるにつれて労働時間が短くなる

出典:「大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)

6.3%の医師は、週2回以上の宿直バイトをしている

続いて 宿日直許可を得ている外勤先での直近三か月の平均的な宿直回数を尋ねた質問では、「宿直はしていない」(68.3%)が最多であり、次いで多いのが「1回」(25.3%)でした。

宿日直許可を得ている外勤先での直近三か月の平均的な宿直回数

大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)をもとに編集部作成

なお、2024年4月からは「医師の時間外労働時間の上限規制」が適用となります。
これは、すべての勤務医について 常勤先と外勤先での労働時間を通算したうえで、時間外勤務を原則「年間960時間以下/月100時間未満」に収めることが求められるものです。

この規制の適用外となる効力を持つことで今注目されているのが、医療機関における宿日直許可です。
宿日直許可のある勤務は、医師の労働時間として算出する必要がないためです。

ただし宿日直許可を得るためには様々な基準を満たす必要があり、「宿直業務は週1回、日直業務は月1回」という回数に関する基準も設けられています。
つまり宿日直許可のある外勤先であっても、宿直は週1回までしか勤務できないのです。

参照:厚生労働省「断続的な宿日直の許可基準について

本調査では、現状週2回以上宿直バイトをしている医師が6.3%いることが分かっています。
これらの医師は、2024年4月までに宿直バイトを「週1回」以下に変更することを求められるでしょう。

14.9%の医師は、月2回以上の日直をしている

次に、月あたりの日直回数についても見ていきましょう。
なお医療機関が宿日直許可を得るための基準では、日直は月1回が上限となっています。

宿日直許可を得ている外勤先での直近三か月の平均的な日直回数

大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)をもとに編集部作成

宿日直許可を得ている外勤先での直近三か月の平均的な日直回数で最も多かったのは「日直はしていない」(70.8%)で、次いで「月1回」(14.3%)、「月2回」(5.6%)でした。

現状では、14.9%の医師が月2回以上の日直バイトをしていることが分かります。
上述の宿直のケースと同様、これらの医師も2024年4月以降は「月1回」までに日直バイトの勤務回数を制限されてしまうでしょう。

大学病院は、勤務医の外勤状況をどのくらい把握している?

大学病院は、勤務医の外勤状況をどのくらい把握している?

続いて、大学病院による勤務医の外勤に関する把握状況を確認していきましょう。

勤務医の外勤先における労働時間を把握しているのは63.0%

令和4年11月時点では、自院における勤務医の労働時間を「把握できている」と回答した大学は93.8%を占めました。

自院における勤務医の労働時間

大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)をもとに編集部作成

一方、外勤先における勤務医の労働時間を「把握できている」と回答した大学は63.0%で、自院に比べて遅れている状況となっています。

外勤先における勤務医の労働時間

大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)をもとに編集部作成

勤務医の宿日直および夜勤バイトを把握している大学は、87.7%

なお、勤務医の外勤先における宿日直および夜勤の状況を「把握できている」とした大学は、87.7%でした。

外勤先における宿日直および夜勤の状況

大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)をもとに編集部作成

「把握できている」とした大学では、「本人の自己申告により、把握できている」(70.4%)が最多となっています。

外勤先の宿日直許可の取得状況を把握しているのは、55.6%

なお上記のグラフからは、外勤先と連携して勤務医の外勤状況を把握している大学も全体の1割以上を占めていることが分かります(「外勤先からの連絡により、把握できている」「本人の自己申告および外勤先からの連絡の両方により、把握できている」の回答数を合計)。

大学病院は地域の中核的医療機関としての機能を果たしているほか、地域の医療機関に医師を派遣することで地域医療の一翼を担うという面もあります。

2024年4月から適用開始となる医師の時間外労働の上限規制に触れることになく、医師を継続して派遣できるのか否かの判断には、地域の医療機関と大学病院間の連携が重要なポイントとなります。
特に派遣先の医療機関の宿日直許可の取得状況は、大学病院にとって重要な確認事項といえるでしょう。

なお今回の調査では、勤務医の外勤先における宿日直許可取得状況を「把握できている」と回答した大学は55.6%でした。

外勤先の宿日直許可取得状況

大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)をもとに編集部作成

今後も、2024年4月からの「医師の働き方改革」に向けて、地域の医療機関への確認や連携を積極的に進める大学病院がますます増えていくでしょう。

17.3%の大学は「外勤先は、宿日直許可のある病院とすることを検討」

このように大学病院が勤務医の外勤に関する把握を進める一方、大学病院からの医師派遣を受けている医療機関では「自院が宿日直許可を得られない場合、大学病院からの派遣医師が引き揚げられてしまうのでは」「現状の医療提供体制を維持できなくなるのでは」といった危機感が高まっています。

今回の調査では、宿日直許可を取得していない外勤先への派遣に対する検討状況について「派遣について特に変更する予定はない」(23.5%)という大学が最も多くなっています。

しかし一方で、「派遣先は宿日直許可を取得している病院とすることなどを検討している」(17.3%)とした大学も2割弱を占めている点にも注目すべきでしょう。

宿日直許可を取得していない外勤先への派遣に対する検討状況

大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)をもとに編集部作成

今後は 大学病院で働く医師に限らず、労働時間としてカウントされない「宿日直許可のあるアルバイト案件」には医師からの応募が集中し、求人競争率がより一層激化することが予測されます。

よって「外勤できるのは、宿日直許可のある病院だけ」と勤務先から制限がある場合には、外勤自体ができなくなってしまう医師も少なくないでしょう。

「医師の働き方改革」以降も外勤を希望する場合は、どうすれば良い?

「医師の働き方改革」以降も外勤を希望する場合、どうすれば良い?

なお「医師の働き方改革」で外勤を制限された結果、収入が減少してしまうことを懸念する医師は多くいます。

特に一般病院などよりも給与水準が低い大学病院においては、これまで外勤先からの収入で給与差額分を補っていたところが制限されてしまうことにより、医師の大学病院離れが進んでしまうことを危惧する声もあがっています。

宿日直許可のあるアルバイトを探そう

このような状況で注目されているのが、医療機関の宿日直許可です。

上述の通り、宿日直許可を得た勤務は原則、労働時間としてカウントされません。

よって宿日直許可のあるアルバイト案件であれば、2024年4月から適用される医師の時間外労働時間の上限規制に触れることなく外勤ができ、副収入を確保することも可能になるのです。

医療機関の内部情報に詳しいエージェントを活用しよう

しかし 医療機関の宿日直許可の取得状況は、求人票などでは一般公開されないケースが大半です。

自身だけでは見つけることが難しい宿日直許可のあるアルバイト案件を探すなら、非公開情報に強いエージェントを上手に活用してみることも1つの方法です。

医師のアルバイト情報サイト「Dr.アルなび」は、医療機関対応の専任スタッフを全国に配置。

宿日直許可の取得状況を含む「医師の働き方改革」への取り組み状況など、医療機関が一般的には公開しない内部情報を積極的に入手し、会員の先生限定でご案内しています。

2024年4月から始まる「医師の働き方改革」以降のアルバイトや働き方についてご心配やご不安な点がある先生は、Dr.アルなびにお気軽にご相談ください。

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出典:「大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)

Dr.アルなび編集部

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