- 私は口蓋裂という先天性異常を持って生まれました。生後数ヶ月の生まれて間もない時期から幼稚園の卒園まで入退院と手術を繰り返し受けました。小学校に上がる頃からは健康な生活を送り、学生時代には硬式テニスに打ち込めるほどになりましたが、自分自身が病院で患者として過ごしたことは医療について身をもって知るきっかけとなりました。そして大学進学に際して進路に迷った私に両親は「健康な生活を送ることができるようになったのは形成外科の先生に手術をして助けてもらったおかげ、今度はあなたが他の人に恩返しをする番だ」と。私自身も「人を助ける仕事がしたい」という思いもあり、医学部に進みました。
大学病院では呼吸器内科医として勤務をスタートしました。多くの患者さんと接する機会がありましたが、入退院を繰り返した末に亡くなられる方も多く、その原因は症状が軽いうちに受診する方が少ないという理由に行き着きました。患者さんの身近に呼吸器専門の病院が無いことや、何となく大きな病院に行くことに気後れしているうちに、症状が悪化してしまうんです。そこで症状が軽いうちに専門医の診察を受けられる体制が必要だということを痛感し、クリニックを開院したのです。