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総まとめ「宿日直許可」ルールや取得状況、医師の働き方への影響がわかる!

【総まとめ】「宿日直許可」ルールや医師の働き方への影響が分かる!

宿日直許可とは、労働基準監督署が医療機関に出す、宿日直に関する許可のことです。

夜間や休日に軽度の業務のみを行う宿直勤務を指し、この許可を得ることで労働時間規制が適用外となり、2024年の「医師の働き方改革」以降も時間外労働の制限を受けずにアルバイトが可能です。宿日直許可の有無は、今後の医師の勤務やアルバイト先選びにおいて重要な検討項目となります。

本記事では、医師が押さえておきたい宿日直許可の概要や医師の働き方への影響、病院における取得状況等の要点をご紹介します。

「宿日直許可」って、何?

労働基準監督署から医療機関に出される「宿日直に関する許可」のこと

夜間や休日に医療従事者が何らかの業務のために医療機関に滞在することを、宿日直といいます。

そして宿日直許可とは、労働基準監督署長から医療機関に出される宿日直に関する許可のことを指します。

なお、医療法第16条では病院は医師を宿直させなければならない旨が定められています。

第十六条 医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。
ただし、当該病院の医師が当該病院に隣接した場所に待機する場合その他当該病院の入院患者の病状が急変した場合においても当該病院の医師が速やかに診療を行う体制が確保されている場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

出典:e-GOV法令検索「医療法(昭和二十三年法律第二百五号)

ただし、宿直を医師に行わせること自体に宿日直許可は必要ありません。

「宿日直許可」があると、労働時間の規制が適用除外になる

では、なぜ医師からの「宿日直許可」への関心が高まっているのでしょうか。

それは、「宿日直許可」を受けた場合には、その許可の範囲で、労働基準法上の労働時間規制が適用除外となるというルールがあるからです。

参照:厚生労働省「医療機関の宿日直許可申請に関するFAQ

このルールは、2024年4月から医師にも適用が開始された「時間外労働時間の上限規制」との兼ね合いから、医師の労働時間や勤務シフトなどを検討・調整する際の非常に重要な要素となっています。

「宿日直許可」があれば、上限規制に触れずにアルバイトできる

2024年4月から始まった「医師の働き方改革」では、医師の時間外労働時間の上限規制が適用となります。

この規制により、原則すべての勤務医の時間外労働は「月100時間未満・年間960時間」に収めることが求められます。

なお、ここでいう医師の労働時間には、常勤先だけでなく非常勤先(アルバイト先)における労働時間も含まれるため、今までのように自由にアルバイトすることが難しくなる勤務医が大半といえるでしょう。

一方で「宿日直許可」を受けた場合には、以下のような効力があります。

  • 時間外労働の上限規制との関係で、労働時間とカウントされない
  • 勤務と勤務の間の休息時間(勤務間インターバル)との関係で、宿日直許可を受けた宿日直(9時間以上連続したもの)については休息時間として取り扱える

参照:厚生労働省「医療機関の宿日直許可申請に関するFAQ

つまり、「宿日直許可」のあるアルバイト案件であれば、時間外労働の上限規制を考慮せずにアルバイトできるということになります。

そのため、医療機関における宿日直許可の取得状況は、医師の働き方改革以降もアルバイトを希望する医師にとっては高い関心事となっているのです。

医療機関が「宿日直許可」を取得できる基準と取得状況

医療機関が「宿日直許可」を取得できる基準と取得状況

それでは、どのような場合に労働基準監督署からの「宿日直許可」を得ることができるのでしょうか。

「一般的な基準」と「医師や看護師の宿日直に関する基準」を満たす必要がある

宿日直許可を得るための基準は、労働基準法で定められています。

さらに、医師をはじめとする医療従事者については、その特殊性から個別の基準が別途設けられています。

◆一般的な宿日直許可の基準

1.勤務の態様
① 常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。
② 原則として、通常の労働の継続は許可しないこと。したがって始業又は終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受又は盗難・⽕災防⽌を⾏うものについては、許可しないものであること。

2.宿⽇直手当
宿直勤務1回についての宿直手当又は⽇直勤務1回についての⽇直手当の最低額は、当該事業場において宿直又は⽇直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して⽀払われている賃⾦の⼀⼈1⽇平均額の1/3以上であること。

3.宿⽇直の回数
許可の対象となる宿直又は⽇直の勤務回数については、宿直勤務については週1回、⽇直勤務については⽉1回を限度とすること。
ただし、当該事業場に勤務する18歳以上の者で法律上宿直又は⽇直を⾏いうるすべてのものに宿直又は⽇直をさせてもなお不⾜であり、かつ勤務の労働密度が薄い場合には、宿直又は⽇直業務の実態に応じて週1回を超える宿直、⽉1回を超える⽇直についても許可して差し⽀えないこと。

4.その他
宿直勤務については、相当の睡眠設備の設置を条件とするものであること。

厚生労働省「断続的な宿日直の許可基準について

◆医師や看護師の宿日直に関する許可基準

① 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。
(通常の勤務時間が終了していたとしても、通常の勤務態様が継続している間は宿⽇直の許可の対象にならない。)

② 宿⽇直中に従事する業務は、前述の⼀般の宿直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限ること。
例えば以下の業務等をいう。
・ 医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む。以下同じ。)や、看護師等に対する指示、確認を⾏うこと
・ 医師が、外来患者の来院が通常予定されない休⽇・夜間(例えば非輪番⽇など)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を⾏うこと
・ 看護職員が、外来患者の来院が通常予定されない休⽇・夜間(例えば非輪番⽇など)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等を⾏うことや、医師に対する報告を⾏うこと
・ 看護職員が、病室の定時巡回、患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温を⾏うこと

③ 宿直の場合は、夜間に十分睡眠がとり得ること。

④ 上記以外に、⼀般の宿⽇直許可の際の条件を満たしていること。

厚生労働省「断続的な宿日直の許可基準について

医師採用のため、積極的に宿日直許可を取得する病院が多い

医療機関が「宿日直許可」を得るメリットの一つは、外部の非常勤医師を採用しやすくなるという点です。

大学病院からの医師派遣や、外部からの非常勤医師の採用によって現在の医療提供体制を維持している医療機関は多くあります。

四病院団体協議会病院の調査において、医師の働き方改革推進に伴う影響について尋ねた質問では、医師確保や診療体制に影響がすでに出ているという声が寄せられています。

Q:医師の働き方改革推進に伴い、診療体制の縮小などすでに生じている影響について(自由回答より抜粋)

大学病院派遣の中止・縮小(当直時間の制限や派遣日数の減少)。
日当直業務を行う医師不足による確保困難および診療体制の縮小
・救命救急センターでの業務は「宿日直」ではなく「勤務」としているため、他院からの非常勤医師の派遣が受けにくくなり、当院の医師の負担が増す
また、周辺の医療機関が宿日直許可を受けることで、救急患者の受け入れが困難となり、当院へ患者が集中すること。
・常勤医不足により今後の日当直体制の維持が難しいため、診療所化を予定している。
・日当直回数に上限が設けられたことで、医師数の少ない診療科では日当直体制をとれない日が生じている

四病院団体協議会病院医師の働き方検討委員会「医師の働き方改革に関する状況調査

上記のような状況の中で医療機関が現状の医療提供を継続していくためには、この「宿日直許可」を取得できるかが重要な要素となっているのです。

約9割の病院が、宿日直許可を取得している

では、実際にどのくらいの医療機関が宿日直許可を取得しているのでしょうか。

2024年1月下旬から2月上旬までに四病院団体協議会が実施した調査によると、「病院全体で宿日直許可を取得」と回答した病院が最多で、70.1%を占めています。

次いで多い「一部の診療科のみ、一部の時間外のみの許可を取得している」と回答した病院も19.4%にのぼり、全体のおよそ9割の病院が宿日直許可を取得していることがわかっています。

宿日直許可の取得状況

出典:四病院団体協議会病院医師の働き方検討委員会「医師の働き方改革に関する状況調査

また、取得していないと回答した病院のうち71%は申請の結果待ちや申請に向けて準備を行っている等、宿日直許可の取得に向けて積極的に動いているという状況でした。

出典:四病院団体協議会病院医師の働き方検討委員会「医師の働き方改革に関する状況調査

アルバイト希望の医師が取るべき対策

アルバイトを希望する医師が、今後取るべき対応・対策は?

最後に、「医師の働き方改革」以降もアルバイトを希望する医師がアルバイトを検討する際に知っておきたい対策方法をご紹介します。

アルバイトを希望する場合は、「宿日直許可」のある案件を探そう

今後医師がアルバイトを検討する際は、募集元である医療機関が「宿日直許可を取得しているか否か」は大きな検討材料となります。そのため、アルバイトを探す際には「宿日直許可」の有無を確認するようにしましょう。

宿日直許可の取得状況は、公開されていないケースが多い

しかし、医療機関における宿日直許可の取得状況は、一般的な求人票などでは公開されていないケースが大半です。

また、宿日直許可の取得に向けて積極的に対応をしているのは、療養病院だけではない点にも注意が必要です。

急性期病院やケアミックス病院でも一部の診療科や時間帯等で限定的に宿日直許可を得ているケースもあるため、病院機能から予測することも難しいでしょう。

宿日直許可に関する情報収集は、エージェントを活用しよう

それでは医師は、どのように「宿日直許可」に関する情報を入手すれば良いのでしょうか。

このような場合は、医療機関と日頃から密なコミュニケーションを取っているエージェントを上手に活用すると良いでしょう。

宿日直許可に関する情報に強い「Dr.アルなび」がオススメ

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