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【FAQ】厚生労働省の「オンライン診療のガイドライン」でよくある疑問と要点

【FAQ】厚生労働省の「オンライン診療のガイドライン」でよくある疑問と要点

新たな診療の形として注目されるオンライン診療は、医師のアルバイト市場でも非常に人気の案件です。

本記事では、医師から多くお問い合わせいただく「オンライン診療に関する4つの質問」と回答をご紹介。

オンライン診療のガイドラインである「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を読み解きながら、厚生労働省が定めているオンライン診療のルールや注意点を分かりやすく解説します。

Q1:遠隔診療とオンライン診療って、どう違うの?

A1:遠隔診療は、情報通信機器を活用して行う健康増進や医療に関する行為のこと。
遠隔診療のうち、診療行為をリアルタイムに行うものをオンライン診療といいます。

厚生労働省から2018年に発出された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、ガイドライン)では、「遠隔診療」や「オンライン診療」、「オンライン受診勧奨」、「遠隔健康相談」の考え方と具体例が記されています。

オンライン診療を定義するための用語①遠隔診療

遠隔診療とは、ビデオ通話など情報通信機器を活用して行う健康増進や医療に関する行為全体を指す言葉です。

この遠隔診療のうち、医学的な判断を含む行為としてオンライン診療やオンライン受診勧奨、一般的な情報提供の行為として遠隔健康相談があります。

オンライン診療を定義するための用語②オンライン診療

遠隔医療のうち、医師と患者間で情報通信機器を介して患者の診察や診断をリアルタイムに行うことをオンライン診療といいます。
なお、診断結果を伝える・処方を行うといった診療行為もオンライン診療に含まれます。

例)
・高血圧患者の血圧コントロールの確認を行う。
・離島の患者を骨折疑いと診断し、ギプス固定などの処置の説明等を実施する。

オンライン診療を定義するための用語③オンライン受診勧奨

医師と患者間において、情報通信機器を通してリアルタイムで患者の診察を行い、医療機関への受診勧奨を行う行為を、オンライン受診勧奨といいます。

患者からの症状の訴えや問診などから疑われる疾患等を判断し、受診すべき適切な診療科を選択するなど、患者個人の心身の状態に応じた必要な最低限の医学的判断を行います。

また、一般用医薬品を用いた自宅療養を含む経過観察や、非受診を勧めることも可能です。

ただし、具体的な疾患名を挙げて、これにり患している旨や医学的判断に基づく疾患の治療方針を伝達したり、一般用医薬品の具体的な使用を指示したりすることは、オンライン受診勧奨の範囲内で行うことはできません。

例)
発疹に対して問診を行い、「この発疹の形状や色の場合、蕁麻疹であることが疑われるので、皮膚科を受診してください」と勧奨する。

オンライン診療を定義するための用語④遠隔健康医療相談

遠隔健康医療相談は、医師が行うものと医師以外が行うものに分類されます。

医師が行う場合は、情報通信機器を活用して得られた情報から、必要な医学的助言を行うことをいいます。
なお、患者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は伴わないものとします。

医師以外が行う場合は一般的な医学情報の提供や受診勧奨に限定され、患者の状態を踏まえた疾患の可能性の提示・診断など、医学的判断を伴わないものとします。

例)
子ども医療電話相談事業(#8000 事業)など、応答マニュアルに沿って小児科医師や看護師が電話により相談に対応する。

Q2:現在、「初診からのオンライン診療」はできる?

Q2:現在、「初診からのオンライン診療」はできる?

A2:可能です。

2023年1月に行われたガイドラインの改正によって、現在 初診からオンライン診療を行うことは正式に認められています。

初診からのオンライン診療が解禁されるまでの経緯は、以下の通りです。

「初診からのオンライン診療」が正式解禁されるまでの流れ

2018年:「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が策定される

オンライン診療は「遠隔診療」として1997年からすでに始まっており、当時は離島やへき地などの患者の利便性向上を重視するものでした。

遠隔診療は電話再診の枠組みで算定されていましたが、2018年度改定で新たな評価が設けられ、呼称も「オンライン診療」へ変更されました。

また同年3月、厚生労働省はオンライン診療に携わる医師や医療機関が確認すべき定義やルールを示した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を発出しました。

◇厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針

2020年:コロナ禍の「特例対応」としてオンライン診療での初診が可能に

日本でも新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まった2020年は、オンライン診療にとっても大きな転機となりました。

厚生労働省は同年4月、多くの患者が医療機関への受診が困難になりつつあることに鑑みた「時限的・特例的な対応」として、初診からのオンライン診療を解禁しました。

参照:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月10日)

感染リスクの観点から医療機関での受診を控えたい患者の診察や新型コロナウイルス感染患者の診察などが実施され、オンライン診療の活用が一定数拡大しました。

2022年1月:「初診からのオンライン診療」が正式に解禁

この流れを受けて2022年1月にはガイドラインが一部改正され、初診からのオンライン診療は「恒久的な制度」として認められました

さらに2022年度の診療報酬改定では、上記のガイドライン改正に合わせてオンライン診療に関する評価の見直しや新設が行われ、以前よりも柔軟な算定が可能となっています。

参照:厚生労働省「個別改定項目について」Ⅲ-2 医療における ICT の利活用・デジタル化への対応

Q3:オンライン診療を行う医師が守るべきルールは?

Q3:オンライン診療を行う医師が守るべきルールは?

A3:ガイドラインで、「最低限遵守する事項」が示されています。

ガイドラインでは、オンライン診療を実施するにあたって医師や医療機関が守るべきルールが「最低限遵守する事項」として示されています。

これらの「最低限遵守する事項」に従いオンライン診療を行う場合には、医師法第20条1(無診察治療)に抵触しないと解釈されます。

本記事では、この「最低限遵守する事項」に関する主なポイントを4つご紹介します。

ポイント①初診は、原則「かかりつけ医」が行う

ガイドラインでは、医師と患者の間で日頃からの信頼関係を築いておく必要があることから、初診は原則として「かかりつけの医師」が行うこととされています。

かかりつけ医以外の場合は、
・医学的情報が十分に把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合
・初診の前に医師が診療前相談を行い、医師が可能と判断し、医師と患者が合意した場合
も、初診からオンライン診療を行うことが可能としています。

ポイント②基本的に、ビデオ通話で実施する

オンライン上で行う診療の場合、得られる情報には限りがあります。

ガイドラインでは、「医師は、直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状態に関する有用な情報を得られるよう努めなければならない。」という考えのもと、リアルタイムの視覚・聴覚の情報を収集できる情報通信手段(つまり、ビデオ通話)を用いることと明記されています。

なお画像や文字等による情報のやりとりを「補助的な手段」として活用することは可能ですが、それらのやりとりのみで診療を完結することは不可としています。

ポイント③患者との合意をした上で実施する

ガイドラインでは、医師都合による一方的な実施を防ぐという観点から、患者からの希望がない限りオンライン診療は実施できないとしています。

そのため、医師は患者がオンライン診療を希望する旨を明示的に確認する必要があります。

またオンライン診療を実施する都度、医学的な観点からオンライン実施の可否を判断することや、患者との合意を確認するために「診療計画書」を作成することも定められています。

オンライン診療の「治療計画書」に記載すべき事項

治療計画書には以下の事項を記載し、2年間は保存することとされています。

・ オンライン診療で行う具体的な診療内容(疾病名、治療内容等)

・ オンライン診療と直接の対面診療、検査の組み合わせに関する事項(頻度やタイミング等)

・ 診療時間に関する事項(予約制等)

・ オンライン診療の方法(使用する情報通信機器等)

・ オンライン診療を行わないと判断する条件と、条件に該当した場合に直接の対面診療に切り替える旨(情報通信環境の障害等によりオンライン診療を行うことができなくなる場合を含む。)

・ 触診等ができないこと等により得られる情報が限られることを踏まえ、患者が診察に対し積極的に協力する必要がある旨

・ 急病急変時の対応方針(自らが対応できない疾患等の場合は、対応できる医療機関の明示)

・ 複数の医師がオンライン診療を実施する予定がある場合は、その医師の氏名及びどのような場合にどの医師がオンライン診療を行うかの明示

・ 情報漏洩等のリスクを踏まえて、セキュリティリスクに関する責任の範囲(責任分界点)及びそのとぎれがないこと等の明示

引用:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針

医師が「オンライン診療に適さない」と判断する場合は、適切な対面受診に繋げる

また、緊急性のある症状やオンラインでは十分な情報が得られないなど「オンライン診療を行うことが適切でない」と医師が判断した場合にはオンライン診療を中止し、速やかに適切な対面診療につなげることが求められます。

具体的な判断基準については、厚生労働省の依頼により一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に関する提⾔」をご確認ください。

ポイント④診察を行う医師の所在は、医療機関に限定されない

ガイドラインでは「医師は、必ずしも医療機関においてオンライン診療を行う必要はない」と記載されています。

騒音のある環境や公共の場などは避けるといった配慮は必要ですが、患者の心身状態に関する情報を得るために適切な環境を確保できれば、医師の自宅など医療機関以外でも診療を行うことが可能です。

医療機関に移動する時間や負担を大きく軽減できるというメリットから、オンライン診療のアルバイトを希望する医師は非常に多くなっています。

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その他のポイントも、ガイドラインで確認しておこう

今回ご紹介した上述以外にも、ガイドラインには「最低限遵守する事項」が示されています。

以下は、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」をもとに編集部にて作成した項目ごとの「最低限遵守する事項」一覧です。

オンライン診療の提供に関する、最低限遵守すべき事項

◆医師-患者関係/患者合意

・オンライン診療を実施する旨について、医師と患者との間で合意する。

・患者がオンライン診療を希望する旨を、明示的に確認する。

・オンライン診療を実施する都度、医師が医学的な観点から実施の可否を判断する。

・オンライン診療を行うことが適切でないと判断した場合はオンライン診療を中止し、速やかに適切な対面診療につなげる。

・オンライン診療で得られる情報は限られていることから、対面診療を組み合わせる必要があることを患者に説明する。

・ オンライン診療を実施する都度、医師がオンライン診療の実施の可否を判断することを患者に説明する。

・診療計画の内容を、患者に説明する。

◆適用対象

・直接の対面診察に代替し得る程度の患者の心身の状態に関する有用な情報を、オンライン診療により得る。

・一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」等を踏まえて医師が判断し、オンライン診療が適さない場合には対面診療を実施する。

・ 緊急性が高い症状の場合は、速やかに対面受診を促す。

・初診からのオンライン診療は、原則として「かかりつけの医師」が行う。

・急病急変患者については、原則として直接の対面による診療を行う。

◆診療計画

・オンライン診療を行う前に、直接の対面診療により十分な医学的評価(診断等)を行い、その評価に基づいて「診療計画」を定め、2年間は保存する。

・ 初診からのオンライン診療を行う場合は、診察後にその後の方針を患者に説明する。

・映像や音声等を、医師側又は患者側端末に保存する場合には、事前に医師と患者間で取り決めを明確にし、双方で合意しておく。

・急変時にオンライン診療を実施する医師自らが対応できないことが想定される場合、対応できる医療機関に必要情報が事前に伝達されるような体制を整えておく。

◆本人確認

・原則として、医師と患者双方が身分確認書類を用いて、お互いに本人であることの確認を行う。

・初診でオンライン診療を実施する場合、患者の本人確認は原則として顔写真付きの身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等)で行う。

・医師は、原則として顔写真付きの身分証明書(HPKI カード、マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等)を用いて医師本人の氏名を示して本人証明を行う。

◆薬剤処方・管理

・初診からのオンライン診療の場合や、新たな疾患に対して医薬品の処方を行う場合は、一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等の関係学会が定める診療ガイドラインを参考に行う。

・初診の場合には、以下の処方は行わない。
麻薬及び向精神薬の処方
基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方
基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方 患者が現在服薬している医薬品を確認する。

◆診察方法

・患者の状態について十分に必要な情報が得られていると判断できない場合には、速やかにオンライン診療を中止し、直接の対面診療を行う。

・可能な限り多くの診療情報を得るために、リアルタイムの視覚及び聴覚の情報を含む情報通信手段を採用する。

・文字、写真及び録画動画のみのやりとりで完結してはならない。

・情報通信機器を介して、同時に複数の患者の診療を行ってはならない。

・医師の他に医療従事者等が同席する場合は、その都度患者に説明を行い、患者の同意を得る。

オンライン診療の提供体制に関する、最低限遵守すべき事項

◆ 医師の所在

・医療機関に所属し、その所属や当該医療機関の問い合わせ先を明らかにする。

・急病急変時、患者が速やかにアクセスできる医療機関で直接の対面診療を行える体制を整えておく。

・騒音で音声が聞き取れない、ネットワークが不安定で動画が途切れる等、適切な判断を害する場所でオンライン診療を行わない。

・緊急ややむを得ない場合を除き、医療機関に居る場合と同等程度に患者の心身の状態に関する情報を得られる体制を整える。

・ 物理的に外部から隔離される空間においてオンライン診療を行う。

・オンライン診療を実施する医療機関は、ホームページや院内掲示等において、ガイドラインを遵守した上でオンライン診療を実施している旨を公表する。

◆患者の所在

・オンライン診療が行われる場所は、対面診療が行われる場合と同程度に清潔かつ安全な場所とする。

・プライバシーが保たれるよう、患者が物理的に外部から隔離される空間においてオンライン診療を行う。

オンライン診療に携わる場合には、一度は以下のガイドラインに目を通しておくようにしましょう。

◇厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針

Q4:オンライン診療をする医師は、資格が必要?

Q4:オンライン診療をする医師は、資格が必要?

A4 :厚生労働省が定めるオンライン研修を受講する必要があります。

ガイドラインにおいて、オンライン診療を行う医師は 厚生労働省が定める「オンライン診療研修」を受講することが義務づけられています。

オンライン診療の実施に当たっては、医学的知識のみならず、情報通信機器の使用や情報セキュリティ等に関する知識が必要となる。

このため、医師は、オンライン診療に責任を有する者として、厚生労働省が定める研修を受講することにより、オンライン診療を実施するために必須となる知識を習得しなければならない。

※ 2020 年 4 月以降、オンライン診療を実施する医師は厚生労働省が指定する研修を受講しなければならない。

引用:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針

研修では5本の動画を視聴し、各10問の演習問題を解く

研修は以下の5科目からなる講義動画(各15~40分程度)を視聴する、e-learning形式です。

・オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度

・オンライン診療の提供に当たって遵守すべき事項

・オンライン診療の提供体制

・オンライン診療とセキュリティ

・実臨床におけるオンライン診療の事例

研修は、登録後インターネット上でいつでも無料で受講が可能となっています。

各科目につき10問の演習問題に全問正解すると、「厚生労働省指定オンライン診療研修修了証」を入手できます。

研修を受講するためには、厚生労働省のオンライン診療研修の概要ページから手続きが可能です。

◇厚生労働省「オンライン診療研修実施概要」

オンライン診療のアルバイト時にも、オンライン診療研修の受講が必要

なおアルバイトで働く場合にも、オンライン診療を行う医師は上記の研修を受講する必要があります。

案件に応募した際、募集元の医療機関から「オンライン診療研修を受講したかどうか」の問い合わせを受けるケースもありますので、早めに受講しておくと良いでしょう。

以上、厚生労働省が定めているルールや、オンライン診療のガイドライン「オンライン診療の適切な実施に関する指針」のポイントについて解説しました。

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Dr.アルなび編集部

ライター

Dr.アルなび編集部

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