2023年は72%の医師が夏休みを取得し、5〜7日の休暇が最も多い(40.9%)結果となりました。休暇時期は8月中旬が最多で、約28%の医師が予定がない、収入重視、バックアップ人員不足などの理由で休みを取りませんでした。コロナの5類移行後、49.2%は外出を再開し、65.9%は場面に応じてマスクを着用しています。休暇中は国内旅行が最も人気となっています。
今回「Dr.アルなび」では、会員医師516名にアンケートを実施。
2023年の医師の夏休み事情や、コロナ5類移行に伴う夏休みの過ごし方への影響について聞きました。
目次
2023年は、どのくらいの医師が「夏休み」を取る?
今年は、72%の医師が夏休みを取得
Q: 今年は夏休みを取得しますか?(常勤先における夏季休暇制度を含む)
上記のように 今年「夏休みを取る予定」と回答した医師は、全体の70.3%に上りました。
また「既に夏休みを取った」と回答した医師もおよそ2%おり、7割を超える医師が今年夏休みを取る(取った)ことが分かります。
医師の夏休み日数は、「5~7日」が最多
Q:夏休みは、どのくらい取得するご予定ですか?または取得しましたか?
今年 医師が取得する(した)夏休み日数は「5~7日」(40.9%)が最も多く、続いて「3~4日」(34.9%)、「1~2日」(14.0%)が多くなりました。
なお昨年の調査では「3~4日」(39.3%)が最多となり、次いで「5~7日」(30.6%)、「1~2日」(22.9%)でした。
今回の調査と回答医師が異なることから一概には言えないものの、今年は より長期の夏休みを取得する医師が増えている可能性もあります。
医師の夏休み時期は、「8月中旬」が最多
Q:夏休みは、いつ取得する予定ですか?または取得しましたか?(複数回答可)
今年 医師が夏休みを取得する時期は、「8月中旬」(回答数:89)が最多となりました。
月ごとにみてみると最も多いのは「8月」、続いて「9月」「7月」となっていますが、異なる月で複数回に分割して夏休みを取るという医師も多くいました。
夏休みを決める際のエピソードや夏休みを取る時期については、以下のようなコメントも医師から寄せられています。
◆職場内で夏休みを決める際のエピソード
・常勤の頃は、交代で夏休みを取りました。(50代/整形外科/勤務医(非常勤のみ))
・専攻医一年目の先生が最初に夏休みの申請をしていたのを見て、「時代だなぁ」と思いました(笑)。(40代/産婦人科/勤務医(大学病院以外の病院))
◆夏休みを取得する時期について
・コロナ明けでどの観光地も混むと思われ、さらに海外観光客も増えるだろう。
休みを取るとしても、海外の観光客から選ばれない場所へ、タイミングも最盛期を外して行きたい。(30代/泌尿器科/勤務医(大学病院))
・皆が同じ時期に休みを取る必要は、必ずしもないと思う。
日祝や正月なども含めて分散して休みを取ったほうが、当番なども公平になるのでは。(20代/眼科/勤務医(大学病院以外の病院))
27.9%の医師が、「夏休みを取らない」理由は?
上述のように夏休みを取得する医師がいる一方、「夏休みは取らない予定」と回答した医師もおよそ3割います。
夏休みを取得しないのは、どのような理由からなのでしょうか。
医師が夏休みを取らない理由は、「予定がない」が最多
Q:夏休みを取得しない理由をおしえてください。(複数回答可)
最も多かったのは「予定がない」(回答数:45)で、次いで「休暇よりも収入が欲しい」「フリーランスのため」(いずれも回答数:32)、「休み中の業務をバックアップしてくれる人員がいない」(回答数:30)となりました。
\空いている時間を、収入に変えるなら/
「夏休み制度」がない医師は、全体の45.2%を占める
なお、上記の質問では「勤務先に夏季休暇制度がなく、有給休暇を使いたくない/有給休暇がない」(回答数:25)という回答も複数寄せられました。
一般企業では夏季休暇が制度(法定外休暇)として設けられているケースも少なくありませんが、医療機関ではどのような状況なのでしょうか。
Q:常勤先の医療機関に「夏季休暇」の制度はありますか?
「常勤先に夏季休暇がある」と回答した医師はおよそ半数にとどまり、常勤先に夏季休暇制度がない医師がおよそ3割を占めていることが分かりました。
また、フリーランスとして働いているため夏季休暇がない医師も約2割います。
この結果を見てみると、医療業界において勤務先の制度としての「夏休み」がないことは、決して珍しくないといえそうです。
\「夏休み制度」がある勤務先で働きたい!/
2023年の夏休み、医師はどう過ごす?
続いて 今年夏休みを取る(取った)先生方に聞いた、夏休みの過ごし方や計画をご紹介します。
昨年よりも、「外出に対して積極的」な傾向
最初に、昨年および今年の夏休みの「外出」に対する考え方を尋ねました。
Q:「昨年」の夏休みは、外出をしましたか?
Q:「今年」の夏休みは、外出をしますか(しましたか)?
2つのグラフを比べてみると、今年は「外出する(した)」と回答した医師の割合が大きく増加。
夏休み中の外出に対して、昨年より今年の方が積極的になっている傾向がみられます。
2023年の医師の夏休みの過ごし方は「国内旅行」が最多
続いて 夏休み中に外出すると回答した医師へ、具体的な行き先を聞きました。
Q:具体的に、どのように過ごしますか(過ごしましたか)?(複数回答可)
今年の夏休みの過ごし方で最多となったのは、「国内旅行」(回答数:180)です。
次いで、「公園や買い物など、近所で過ごす」(回答数:59)、「海外旅行」(回答数:52)となっています。
医師からのコメントも、抜粋してご紹介します。
◆宿泊ありの旅行・帰省に行く
・国内旅行、久々で楽しみです。(帰省(宿泊あり)・国内旅行(宿泊あり)/30代/腎臓内科/勤務医(大学病院))
・沖縄へ行きます。(国内旅行(宿泊あり)/30代/皮膚科/勤務医(大学病院以外の病院))
・自然の中でのんびりしたい。(国内旅行(宿泊あり)/50代/一般外科/勤務医(大学病院以外の病院))
・数年ぶりに、実家に帰る予定。(帰省(宿泊あり)/50代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・旅行目的は城巡りで、屋外での散策がメインです。感染予防のため、目的地までの移動は乗用車です。(国内旅行(宿泊あり)/50代/一般外科/勤務医(大学病院以外の病院))
◆昨年よりも行動しやすくなった
・コロナもだいぶおさまってきたので、今年は行きたいところに行きたいと思っています。(帰省(日帰り)・国内旅行(宿泊あり)/30代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・昨年までよりも、行動範囲が広がる。(帰省(宿泊あり)/60代/耳鼻いんこう科/勤務医(診療所・クリニック))
◆混雑する場所への旅行は、周囲に伝えづらい
・混雑する場所に行く場合は、未だになんとなく行き先を言いづらいです。(国内旅行(宿泊あり)/30代/精神科/勤務医(大学病院以外の病院))
◆新型コロナウイルスの感染状況が気にかかる
・コロナの感染者数が増えているのが心配。(国内観光(日帰り)/50代/一般外科/勤務医(大学病院以外の病院))
医師たちが考える、5類移行後「ウィズコロナ」の夏休みの過ごし方
2023年5月8日、新型コロナウイルスは感染症法上の「5類」に移行しました。
この位置づけ変更によって国は国民に行動制限を求められなくなり、マスク着用も含む現在の感染対策は 個人の判断に委ねられています。
最後に コロナの5類移行を受けて、医師たちは夏休みの過ごし方についてどのように考えているか尋ねました。
49.2%の医師は「コロナ禍以前のように外出」と回答
Q:コロナ5類移行による「ご自身の夏休みの過ごし方」への影響について、自身の考えに最も近いものはどれですか?
「コロナ禍以前のように、外出する」(49.2%)との回答が最も多く、全体のおよそ半数を占めています。
次いで多い「必要に応じた制限や自粛をしながら、外出する」(46.5%)も4割を超えており、意見は概ね二分されている状態となりました。
医師から寄せられた声も、合わせてご紹介します。
◆コロナ禍以前のように、外出する
・社会生活をもとに戻すことも重要です。(30代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))
◆必要に応じた制限や自粛を継続しながら、外出する
・人混みを避けつつ、帰省等の移動をする。(30代/腎臓内科/勤務医(大学病院))
・現在、コロナ感染者が徐々に増えてきているため。(60代/一般内科/勤務医(非常勤のみ))
・5類感染症に移行したというのは、制度だけの問題。病原体としての性質は医学的、科学的に同じなので、対策についても変更することはありません。
むしろ公費治療ではなくなるので、より自衛が重要になります。(30代/眼科/勤務医(大学病院以外の病院))
・医療者として、感染に十分留意すべき。(40代/救急科/フリーランス)
◆できる限り、外出は避ける
・5類になったからといってコロナがなくなったわけではないですし、感染力や病原性が落ちたわけでもありません。(50代/耳鼻いんこう科/無職)
65.9%の医師は、夏休み中も「場面に応じてマスクを着用」
現在個人の判断に委ねられているマスク着用についても、医師の考えを聞きました。
Q:コロナ5類移行による「夏休み中におけるマスク着用」への影響について、ご自身の考えに最も近いものはどれですか?
最も多かったのは「場面に応じて、マスクを着用する」(65.9%)で、全体の6割を超えています。
次いで「場面を問わず、マスクを着用する」(24.7%)が約3割、残り1割は「マスクは一切着用しない」(9.4%)となりました。
◆場面に応じて、マスクを着用する
・閉鎖空間では、マスクをします(50代/呼吸器内科/勤務医(非常勤のみ))
・人が少ない所、または人がいない所ではマスクを着用しない予定。(50代/一般外科/勤務医(大学病院以外の病院))
・暑い時は外します。具合が悪くなるので。(40代/腎臓内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・流行状況や密度に応じて、マスク着用予定。
普段の生活での方針と、大きく変わる予定ではない。(30代/一般内科/勤務医(大学病院))
・感染したら通常勤務も当直も休まなければならなくなるため、人混みを避ける、マスクをするなどの予防は継続します。(50代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・不要と思うが、パフォーマンスは必要。(50代/耳鼻いんこう科/勤務医(大学病院以外の病院))
◆場面を問わず、マスクを着用する
・コロナの感染者数が増えてきたので。(30代/腎臓内科/勤務医(大学病院))
・マスク装着によるコロナ感染予防効果は高い、と考えています。(40代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))
・いま流行しているのは、コロナだけではない様々な感染症。
それらへの感染対策の一環として、マスク着用など衛生管理を継続するつもりです。(40代/呼吸器内科/勤務医(健診施設や老健など))
・日常生活や勤務に影響がないようにしたいため。(30代/小児外科/勤務医(大学病院以外の病院))
◆マスクは一切着用しない
・マスクの感染予防効果は、非常に限定的。
コロナウイルスへの過剰対策による社会への悪影響を除くために、まずは医療者から積極的に外出、脱マスクを進めていくべきと考える。(30代/一般内科/勤務医(非常勤のみ))
以上、医師たちの2023年の夏休み事情や、コロナ5類移行による夏休みの過ごし方への影響についてお伝えしました。
・子どもと一緒に、楽しい夏休みにしたい。(30代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・年齢に負けず、夏休みでひとまわり成長したい。(50代/耳鼻いんこう科/勤務医(大学病院以外の病院))
今年も新型コロナウイルスの動向が気になる中で迎えた夏となりましたが、これから夏休みを取得される先生はどうか暑さに負けることなく、十分に英気を養う時間をお過ごしください。
◆調査概要「夏休みに関するアンケート」
調査日:2023年7月4日~7月11日
対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師
調査方法:webアンケート
有効回答数:516
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