寝当直バイトの給与相場や医師の仕事内容は？メリットとデメリット、効率的な探し方も解説

通常の診療時間外における夜間外来や救急対応、入院患者の急変対応などを行うことを、当直といいます。

寝当直バイトは、主に療養病院や慢性期病院で行われ、患者の回診や急変対応、死亡確認などを担当します。当直時間中は仮眠や自己研鑽が可能で、体力的負担が少ないが、救急当直と比べ給与が低いです。しかし、都心より地方の病院の方が給与は高い傾向があり、人気が高い求人は競争率が激しくなっています。さらに2024年からの医師の労働時間規制により、寝当直バイトの需要が増加しています。

本記事では、医師向けアルバイト情報サイト「Dr.アルなび」に掲載されている募集情報などから、医師の寝当直バイトの給与相場や仕事内容、求人探しのポイント等を調査しました。

医師の寝当直バイトとは

寝当直とは、病棟管理を主に行う当直のこと

通常の勤務時間ではない時間帯に交代で業務を担当することを、当直といいます。

この当直には、大きく分けて「救急当直」と「寝当直」と呼ばれるものがあり、前者の「救急当直」は救急車等で救急外来を受診した患者対応がメインの当直のことをいいます。

一方の「寝当直」における医師の主な業務は、院内待機と入院患者の対応です。

寝当直バイトで、医師に求められる業務

一般的には、以下の3つが寝当直バイトにおける医師の仕事内容です。

病棟の回診

入院患者のベッド等に医師が赴いて、診察をします。

なお案件によっては、回診業務が業務内容に含まれていないこともあります。

急変時対応

入院患者に急変が発生した際には、適切な対応が求められます。

もし患者さんに症状がみられた際には「●●という薬剤を投与する」といった対応内容が決まっている等、アルバイトの医師にとっても安心して働ける環境が整っている病院も多くあります。

なお、一般的には療養病院や慢性期病院には高齢者が多く入院していることから、急変リスクが高い患者も少なくありません。

ただし、DNAR（蘇生処置拒否）の方針となっているケースも多いため、気管挿管等の急変時対応を実施するケースは稀といえるでしょう。

死亡確認・死亡診断書の作成

また急変時対応の中では、患者が亡くなってしまうケースも考えられます。

その際は、死亡確認や死亡診断書の作成、コメディカルへの連携等の対応も必要です。

このように、寝当直における医師の仕事内容には救急対応は含まれないケースが大半です。もし含まれる場合でも一次救急のみとなり、大きな負担となるような対応は少ないでしょう。

仮眠を取る等、寝当直バイトの待機中は自由に過ごせる

回診や急変対応等の患者対応がない時間は、急変時対応に備えて院内で待機します。

待機中は当直室や医局、仮眠室等で過ごすことが可能で、シャワー室やWi-Fiなどのインターネット環境を利用できる医療機関もあります。

業務以外の時間の過ごし方に関する決まりはとくにないため、休息や仮眠を取る、学会の準備や論文作成、自己研鑽を行う等も可能ですが、いつでも患者対応のできる状態を維持しておくことが必要です。

医師の寝当直バイトは、療養病院等が募集している

寝当直バイトの求人は、療養病院やリハビリテーション病院、慢性期疾患中心の病院等、比較的状態が落ち着いた患者が入院している病院が募集元となっているケースが大半です。

寝当直バイトの給与相場

寝当直バイトの給与相場は、1回30,000円程度

一般的には、総合病院等の医療機関に勤務する常勤医師が当直を行った場合の当直手当は、1回15,000円から20,000円程度が相場です。

一方で医師のアルバイト情報サイト「Dr.アルなび」調べによると、寝当直バイトの給与相場は、1回あたり30,000円程度となっています。

このように常勤先における当直手当よりも割高な給与が得られることも、寝当直バイトの人気が高い理由の一つといえるでしょう。

都心部よりも地方にある病院の方が、給与相場は高い

なお、寝当直バイトで提示される給与は、医療機関の所在地によっても変動します。

一般的に、都心部にある交通アクセスの良い病院よりも、地方や都心部からのアクセスがあまり良くない立地にある病院の方が、勤務1回あたりの給与は高い傾向があります。

医師が寝当直バイトをするメリットとデメリット

医師が寝当直バイトをする、2つのメリット

業務負担が軽い

寝当直バイトの特徴として、体力的な負担が少ないことがまず挙げられます。

仕事内容は病棟管理がメインで、待機時間は休息や睡眠に充てることも可能なので、常勤先が忙しい医師であっても副業先として検討がしやすいでしょう。

世代や専門を問わずに応募ができる

また「科目不問」の求人が大半であり、専攻医からベテラン医師まで世代や科を問わず、幅広いバックグラウンドの医師が応募しやすい点も大きな魅力です。

医師が寝当直バイトをする、2つのデメリット

救急当直と比べて給与が低い

一方で寝当直バイトのデメリットとして挙げられるのは、救急対応を含む当直バイトと比較して勤務1回あたりの給与が低いことです。

寝当直バイトの給与相場は1回あたり30,000円程度ですが、二次救急をはじめとする急性期病院等で救急対応を行う救急当直の場合は、1回あたり60,000円～80,000円程度が相場となっています（「Dr.アルなび」調べ）。

また、固定給とは別に「救急車1台あたり〇円」「入院受け入れ1件あたり〇円」といったインセンティブ（歩合給）が設けられているケースがあったり、脳神経外科や小児科、整形外科など特定の診療科限定の救急当直では、さらに高額の給与が提示されたりする傾向があります。

人気が高く、求人の競争率が高い

加えて、勤務希望の医師が多く、求人競争率が高いこともデメリットの一つとして挙げられるでしょう。

とくに都心部や交通アクセスの良い病院の募集は、募集開始から応募が殺到し、数分で枠が埋まってしまうことも珍しくありません。

ただし、2024年4月以降はさらに寝当直を担当するアルバイト医師へのニーズが高まっており、求人数は増加傾向にあります。

自身の希望にマッチする好条件の求人を逃さないためには、こまめな情報収集を行う必要があるでしょう。

いま「寝当直バイト」の需要が高まっている理由と、求人の選び方

「医師の働き方改革」の影響で、寝当直バイトの募集を行う病院が増えている

2024年4月から施行が始まった「医師の働き方改革」では、医師の労働時間の上限規制が適用となりました。

この規制ではより厳格な医師の労働時間管理が求められており、連続して勤務できる時間が制限されたり、勤務間インターバルを設けたりする必要があります。

そのため、「医師の働き方改革」が始まった2024年4月以降は、今まで寝当直勤務をしていた常勤医師は当直勤務ができなくなってしまった、というケースが発生しています。

結果として、寝当直業務を外部からのアルバイト医師に委託する病院が増えており、今後も寝当直バイトの求人数はさらに増えていく可能性があるのです。

とくに人気なのは、「宿日直許可取得済み」の寝当直バイト

なお、数多くの寝当直バイトの求人がある中でもとくに人気があるのは、宿日直許可を取得している求人です。

宿日直許可とは、いわゆる寝当直にあたるような、ほとんど労働をする必要のない業務について労働基準監督署が与えるものです。

この宿日直許可を受けた時間については、労働時間とカウントされないという特別なルールがあります。

2024年4月以降、原則すべての勤務医はアルバイト先における労働時間も含む「自身の労働時間の上限」を遵守したうえで勤務することが求められていますが、労働時間としてカウントされない宿日直許可のあるアルバイトであれば、上限時間に触れることなく働くことができるのです。

そのため「Dr.アルなび」でも、宿日直許可のある寝当直求人へお問い合わせや応募が急増しています。

寝当直バイトを探す際のチェックポイントと、効率的な探し方

寝当直バイトを探す際の、2つのチェックポイント

宿日直許可の有無以外にも、寝当直バイトを検討する際は以下の2つを確認しておくと安心です。

チェックポイント①当日の医師体制、オンコール体制

病棟管理がメインの寝当直バイトであっても、救急患者の受け入れ相談や急変時対応が必要になる可能性もあります。勤務当日に相談できる常勤医師がいるか等、緊急時の対応方法を聞いておくと当日も安心して勤務できます。

また、同じ当直帯で内科領域の担当医が1名、外科領域の担当医が1名等、複数の医師で勤務する場合もありますので、当日の医師体制もあわせて確認しておきましょう。

なお、アルバイトで勤務する場合は、勤務先の周辺にどのような医療機関があるか把握していないケースが大半です。

対応困難な症例である場合、搬送できる連携先医療機関についても勤務前に確認しておくことをオススメします。

チェックポイント②勤務当日に持参するものや集合場所・時間

初めて勤務する病院の場合、どのようなものを持参すべきかあらかじめ聞いておきましょう。

勤務中に着用する白衣やスクラブ、聴診器、処方箋や死亡診断書の作成時に必要となる印鑑等、自分で持参するものを確認しておくと、勤務当日も慌てずに済みます。

また当直バイトでは、勤務開始前に電子カルテの操作案内や前医からの引継ぎが行われるケースもあります。勤務直前でバタバタしたり、遅刻してしまったりすることを回避するためにも、当日は何時ごろ、どこに行けば良いのかを前もって把握しておくと安心です。

効率的に、好条件の寝当直バイトを見つける！2つの方法

最後に、忙しい医師でも希望条件に合う寝当直バイトを見つけるための方法をご紹介します。

寝当直バイトの探し方①自分で、医師アルバイトの求人サイトで探す

当直バイトの募集は、医師向けのアルバイト情報サイトに多数掲載されています。

「気軽に、どのような募集があるのか見てみたい」「常勤先や自宅から近いエリアで、どのくらいの募集が出ているのか知りたい」といった場合には、まずは希望の条件を選択して求人を検索してみるのがオススメです。

医師のアルバイト求人を専門としているサイトであれば、対応件数の目安や当日の医師体制、業務内容、雇用条件についても詳しく確認できるので、効率的に検討が進みます。

さまざまな検索条件を試しながら、求人を比較検討してみましょう。

寝当直バイトの探し方②エージェントに、希望に合う求人を探してもらう

仕事が忙しくて、求人サイトでアルバイトを探す時間が取れないときには、専門のエージェントに依頼するという方法も、希望に合ったアルバイト選びの近道になります。

医師向けのアルバイト求人を紹介するサービスにはさまざまなものがありますが、「専任のコンサルタントが在籍しているか」に注目して選んでみるのも1つの方法です。

「Dr.アルなび」には非常勤案件を専任で担当するコンサルタントが在籍し、医療機関への確認から条件調整まで、代行してもらうことができます。

「勤務後は●時までに、常勤先に戻りたい」といった制約がある場合にも、遠慮なく病院への相談や交渉ができるので安心です。

また、希望に合う案件だけをピックアップして紹介してくれるため、求人を検索したり病院への問い合わせをしたりする手間や時間を省ける点も大きなメリットといえるでしょう。

以上、医師の寝当直バイトの給与相場や仕事内容、求人探しのポイント等をご紹介しました。

2024年4月より適用開始となった「医師の働き方改革」によって、医師アルバイト市場は大きな転機を迎えています。

最新情報を効率的に収集したい先生は、Dr.アルなびをぜひご活躍ください。
専任のコンサルタントが、先生のアルバイト探しの成功をしっかりとサポートします。