「高収入」「多忙」といったイメージを持たれることが多い職業である医師ですが、常勤先以外の医療機関においても非常勤医師としてアルバイトをしているケースが多くあります。
また医師の働き方も多様化する昨今では、常勤先を持たずに非常勤という雇用形態を選択して働いている医師も少なくありません。
本記事では 医師396名にアンケートを実施した結果をもとに、医師のアルバイト事情や多くの医師が実践しているアルバイト探しの方法などについて解説します。
常勤先のある医師のアルバイト事情
まずは、常勤先を持ちながら副業として非常勤勤務をする医師の実情を見ていきましょう。
常勤先を持つ医師の77.1%は、アルバイトをしている
以下のグラフは、常勤先となる医療機関以外で非常勤勤務をしている医師の割合を示したものです。
およそ8割にも上る医師は、現在何らかのアルバイトをしていることが分かります。
Q:現在は、非常勤勤務をしていますか?
常勤先のある医師がアルバイトをする理由は「副収入で年収を上げたい」が最多
常勤先の勤務だけでも多忙な医師も多いと推測されますが、そのような中でもさらに別の医療機関でのアルバイトをする方が多いのはどのような理由からなのでしょうか。
非常勤勤務をしていると回答した医師にその理由を尋ねたところ、最も多かったのは「副収入を得て、年収を上げたい」(回答数:265)でした。
Q:「非常勤勤務をする目的」として、特に当てはまるものを3つまで教えて下さい。
医師の中には、世間がイメージするほど高い収入を常勤先から得られず、生活費等を補うためにアルバイトをするという方も多くいるようです。
特に大学病院に勤務する医師の給与水準は民間病院と比べて低いケースが多く、厚生労働省「医師の勤務実態について」(令和2年)によると、 大学病院勤務の9割以上の医師はアルバイト先を持っているとされています。
▶関連記事
医師アルバイトの大きなメリットは、「給与が割高」であること
このように医師のアルバイトにおいては常勤先の手当よりも高額な給与が得られることが多く、年収を増やしたいと考える医師にとっては大きなメリットといえるでしょう。
▶関連記事
常勤先のある医師の74.3%は、アルバイトで「100万円以上」年収を上げている
では、実際に常勤先を持つ医師たちはどのくらいの収入をアルバイト先から得ているのでしょうか。
続いて、アルバイト先からの年間収入額を尋ねたところ、最も多かったのは「100万円以上 300万円以下」(28.7%)でした。
次いで、「300万円以上 600万円以下」が23.2%、「1,000万円以上」も11.7%存在しており、アルバイト先からの収入が医師の年収アップに大きく貢献していることが分かります。
金銭的な理由以外にも、医師がアルバイトをするメリットはある
金銭的な事情以外にも、医師がアルバイトをする目的はさまざまです。
以下に、医師から寄せられた「医師がアルバイトをするメリット」をご紹介します。
◆常勤先とは異なる環境で見識や経験を得ることができる
・専門から少し離れた仕事など普段の診療とは異なる環境や職場の方が、見識が広がると思います。(40代前半/勤務医(診療所・クリニック)/消化器内科)
・同じ分野でも 非常勤勤務先があると、仕事のやり方などの参考になったりします。(40代前半/勤務医(健診施設や老健など)/健診・ドック)
・時間の余裕ができたので、他地域の状況も経験したいため。(50代後半/開業医/整形外科)
◆他病院との情報交換ができる
・常勤先と同じような病院に行くことにより、病院における制度対応(当直、感染、診療報酬など)の情報交換をするため。(40代後半/勤務医(一般病院)/救急科)
◆開業に向けた取り組みができる
・開業の勉強をするため。(30代後半/勤務医(一般病院)/眼科)
「開業希望の先生 歓迎」の募集も!
「非常勤のみ」という働き方を選ぶ医師の実情
続いて、常勤先となる医療機関を持たず「非常勤」として働く医師の実情を見ていきましょう。
全体の13.9%の医師が「非常勤のみ」という働き方を選択
本調査では、およそ14%の医師が常勤先を持たず、非常勤という雇用形態で働いていると回答しています。
Q:現在、常勤先など主たる勤務先はありますか?
医師が「非常勤のみ」という働き方を選択する理由は、「家庭の事情」が最多
非常勤という雇用形態を選択した理由を尋ねたところ、最も多かったのは「育児や介護など家庭の事情により、常勤として働くことが難しい」(回答数:22)という理由です。
厚生労働省「令和2年 医師需給推計の結果」によると、女性医師の就業率は30代で大きく低下し80%を下回っており、背景として結婚や出産などのライフイベントの影響があることが予想されます。
これらのライフイベントをきっかけとして、退職や「常勤から非常勤へ」といった働き方の変更を検討する医師も多くいるようです。
▶関連記事
「自由度の高い働き方」として非常勤のみを選択する医師も多い
上記のような家庭の事情以外では、「自分が主体となってキャリアプランを決定できるから」(回答数:15)、「趣味など仕事以外の時間を優先したいから」(回答数:15)という理由も多く挙げられています。
「医局人事に縛られることなく、自身のキャリアを進みたい」「理想のワークライフバランスを保ちながら働きたい」など、昨今では医師一人一人が希望する働き方も千差万別です。
様々なニーズに対応する働き方の選択肢があり、その一つである「非常勤」という働き方を選ぶ医師が増えています。
実際に「非常勤のみ」という働き方で現在活躍されている先生方からは、以下のようなコメントも寄せられています。
・常勤にとらわれず、非常勤という働き方についても積極的に考えてよいと思う。(30代後半/勤務医(非常勤のみ)/一般外科)
・状況に応じて、無理のないように働ける環境が選べることにとても助かっています。
常勤であっても非常勤であっても、患者さんに最適な医療を提供すべきであることに変わりはないので、研鑽を積む日々です。(40代前半/勤務医(非常勤のみ)/一般内科)
・思い切って「非常勤のみ」という働き方をしてみて下さい。自分に合わなければ常勤を探せばいいだけの話です。必ず働き先は見つかります。(50代前半/産業医/一般内科)
・悔いのない選択をされること、周囲の理解があれば何よりと思います。(40代前半/勤務医(非常勤のみ)/小児科)
非常勤案件専任のコンサルタントが、ご希望に近い事例をピックアップしてご案内!
56%の医師は、「非常勤勤務のみ」で1,000万円以上の年収を得ている
「非常勤のみ」という働き方を検討する際、やはり気になるのが収入面です。
実際に非常勤のみで勤務している先生方に年収を尋ねたところ、最も多かったのは「200万円以上 500万円以下」および「1,300万円以上 1,600万円以下」(いずれも16.4%)でした。
全体的にみてみると、1,000万円以上の年収を得ている方が56.3%と半数を超えており、1,800万円以上の年収を得ている方も14.5%を占めています。
上述したように、非常勤の募集では給与設定が割高となっているケースが多くあります。
そのため複数の医療機関での非常勤務を組み合わせたりすることで、常勤先から得られる収入額に匹敵するくらいの年収を得ることも十分可能となっています。
アルバイト経験のある医師に聞く、効率的に募集を探す方法
ここまで常勤先を持つ医師、そして非常勤のみという働き方を選択する医師のアルバイト(非常勤勤務)事情をご紹介しましたが、医師はどのような方法でアルバイトを探しているのでしょうか。
最後に、多くの医師が実践しているアルバイトの探し方について解説します。
83.6%の医師は、アルバイトを探しで「エージェント」を活用!
常勤先がある医師、非常勤のみで働く医師それぞれに、アルバイト求人の探し方を尋ねたところ、最も多くなったのは「医師向けの紹介会社(エージェント)」でした。
常勤先を持つ医師では74.5%、非常勤のみで働く医師では92.7%にも上る医師が、アルバイト探しにおいてエージェントを活用していると回答しています。
医師のアルバイト探しでは、確認や交渉を代行してくれる「エージェント」利用が便利
アルバイトを検討する際には、医療機関への確認事項が頻繁に発生するものです。
また、より自身の希望に近い条件とするために、交渉や相談が必要になる場合も多々あります。
忙しい勤務の合間で頻回に医療機関とやり取りをしたり、慣れない交渉事を行ったりするのは「ハードルが高い」と感じる方も多いのではないでしょうか。
このようなときに活用したいのが、医師専門の紹介会社(エージェント)です。
上述でご紹介したように多くの医師がエージェントを利用しているのは、このような確認・交渉事をエージェントに代行してもらえることが大きいでしょう。
非常勤案件の「専任」だから安心!
◆調査概要「アルバイト(非常勤勤務)のご経験・エピソードに関するアンケート」
調査日:2023年2月7日~2月14日
対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師
調査方法:webアンケート
有効回答数:396